会社紹介


株式会社信成金属は、昭和25年(1950年)に現社長の父が鉄工所として創業し、パナソニック製品をはじめとする家電部品の製造からスタートしました。創業当初は真鍮加工を中心に手がけていましたが、フジキンとの取引開始を機にステンレス加工へと転換。より難易度の高い部品づくりに挑戦し、技術を磨いてきました。
当初は兄が家業を継ぎ、次男である現社長とともに事業を営んでいましたが、それぞれが思い描く経営を実現するために、平成元年(1989年)に会社を分割。現社長が独立して新たなスタートを切り、その後フジキンの成長とともに、信成金属も着実に発展を遂げてきました。半導体バルブや原子力用バルブ、精密機械部品の製造を中心に事業を展開し、高品質な部品を提供しています。36年間にわたって一貫した製品づくりに取り組む中で、圧倒的な技術力と品質管理能力を培ってきました。
2024年(令和6年)10月には、事業再構築補助金を活用して水素関連事業への展開を視野に入れた新工場が完成。従来の40坪の工場から大幅に規模を拡大し、次なる飛躍に向けた確かな基盤を築いています。
会社の強み・思い

信成金属最大の強みは、フジキンの厳しい品質基準をクリアし続ける「不良率の低さ」です。見た目では判別できないほど微細な傷も不良とされる厳格な基準の中、全数検査を徹底することで、不良品ゼロを実現しています。
「真鍮とステンレスはまったく違い、ステンレス加工は圧倒的に難しい」と語る現社長の言葉の通り、周囲にステンレス加工に対応できる企業が少なかった時代から、その難易度の高い加工に挑み続けてきました。現在では、製品を1個ずつ特注のケースに収めて納品するほどの丁寧さで、量産でありながら高精度なものづくりを追求。その姿勢こそが、信成金属の誇りと品質の源です。
特に力を入れていること、課題に感じていること


現在、信成金属では従来の技術力に加え、最新技術の導入にも積極的に取り組んでいます。たとえば、携帯端末で機械の稼働状況や工場内の様子を確認できる遠隔監視システムの導入など、効率化を重視した設備投資を進めてきました。
中でも、検査工程のロボット化は最重要課題と位置づけており、「傷を100%見つけられる検査ロボットが実現すれば、現場は大きく変わる」と大きな期待を寄せています。そのためにも、常に新しい情報をキャッチしようと心がけており、「一人で閉じこもっていると情報が偏る」という考えのもと、積極的に外部との交流や業界内のネットワークづくりにも力を入れています。
また、次世代リーダーの育成も今後の重要なテーマです。現在は16名のベトナム人従業員が在籍しており、18年のキャリアを持つベテランから新人まで、それぞれの技術力向上と信頼関係の構築に力を注いでいます。従業員の増加にともない、就業規則の整備や社員寮の購入も検討するなど、誰もが安心して働ける環境づくりにも取り組んでいます。
全従業員がベトナム人という職場環境において、言語の壁はいまも大きな課題のひとつです。そのため、個別面談や定期的な食事会では通訳を通じた丁寧なコミュニケーションを心がけています。「直接会話ができれば、仕事以外のことももっと話せるのに」という専務取締役の言葉からは、従業員一人ひとりへの深い思いやりと信頼が感じられます。
将来のビジョン、経営理念


「今のベースを安定させて、次のステージに行きたい」と専務が語るように、信成金属では現在の安定した事業基盤を維持しつつ、新たな取引先の開拓にも視野を広げています。「新しい分野の仕事も増やしていけたらと思いますが、まだ技術力が足りない」と語るその姿勢には、謙虚さと同時に現実を見据えた柔軟な発想が感じられます。「できないことは他の企業にお願いし、うちでできることがあれば責任をもって取り組む」という考え方で、無理のないかたちでの事業拡大を目指しています。
また、「少ない人数で多くの機械を管理し、売上が上がれば社員の給与にも反映させたい」という方針のもと、ロボット化の推進にも積極的です。効率化と働きやすさの両立を図りながら、次世代を見据えた少数精鋭の体制づくりを進めています。
専務取締役の紹介

辻村章広専務は、一度はジュエリー業界で営業職として外の世界を経験したのち、家業を継ぐことを決意しました。「やりたいことがあるなら、やってみたら?」という父の寛容な後押しのもと、さまざまな経験を経て現在に至ります。
現在は、現場で唯一の日本人として、16名のベトナム人従業員とともに日々奮闘。言葉の壁という課題を抱えながらも、通訳を介して一人ひとりと丁寧に向き合い、チーム一丸となって高品質な製品づくりに取り組んでいます。
「労働時間を短くしていきたい」という現代的な働き方への意識と、「給料を上げるには不良を減らし、全員で意識を変えていく必要がある」という品質向上への強い思いを併せ持つ、まさに次世代を担うリーダーです。
休日の過ごし方
専務の休日は「子どもの世話とゴルフ」が中心。取引先であるフジキンのコンペにも月に1回ほど参加し、ビジネス上のつながりを大切にしています。最近、お子さんが誕生したばかりで、育児にも積極的に取り組む忙しい日々を送っています。
健康管理にも意識が高く、平日は週2回ジムに通う生活を約1年半継続中。「40歳になるまでには体を動かそう」と決意して始めた運動習慣は、腰痛対策としても効果を実感しているそうです。
また、家族との時間も大切にしており、ご両親や姉の家族と一緒に食事に出かけることも。仕事とプライベートのバランスを上手に取りながら、充実した日々を送っているようです。
製造業あるある
「仕事柄、どうしてもモノの構造や素材が気になってしまう」と語る専務。遊園地で木造のジェットコースターを見た際には、「全部ビス止めで大丈夫なの?」と不安になり、結局乗れなかったというエピソードも。実際にその後、そのジェットコースターが運転停止になったという“製造業従事者ならでは”の鋭い視点が光ります。
また、ゴルフでは3Dプリンターで作られたパターを選ぶなど、常に技術的な目線で物事を見てしまうのも、もはや職業病。日常の中にも“製造業あるある”が自然と表れる、ものづくりへの強い関心と探究心が感じられます。