会社紹介


株式会社マツダアートプリントは、1991年8月の創業以来、大阪・東大阪市でシルクスクリーン印刷を手がけてきた印刷加工会社です。電照看板やアクリルパネル、銘板をはじめ、定規やステッカー、Tシャツまで、あらゆる素材・形状への印刷に対応しています。
シルクスクリーンの「シルク」は、その名の通り、かつて版に本物の絹を使っていたことに由来します。ただ、絹はすぐに破れてしまうため、現在は耐久性の高いビニール系の素材に変わりました。版の目を感光乳剤で埋め、フィルムを当てて光を当てることで絵柄の部分だけを開かせ、そこにスキージで刷ることでインキを下の生地に転写します。手間のかかる工程を経て、唯一無二の質感を持つ印刷を生み出しています。
創業したのは松田社長の父です。元々シルク印刷会社に勤めており、そこから独立する形で会社を立ち上げました。松田社長はその先代のもとで経験を積み、有限会社から株式会社への切り替えに合わせて、令和3年頃に代表取締役に就任しました。現在も二人三脚で現場に立ちながら、これまでにない新しい挑戦にも積極的に取り組んでいます。
会社の強み・思い

マツダアートプリントの最大の強みは、「無理かもしれない」と感じるような仕事にも、「やってみたい」と向き合う姿勢です。曲面への印刷が本来不向きとされるボールペンへの印刷や、穴だらけで印刷が困難とされるメラミンスポンジへの印刷など、他社が断るような依頼にも真正面から向き合ってきました。「いつまでに欲しい」という急な短納期の依頼にもフットワーク軽く応えています。電車やバスの方向幕や、テーマパーク関連のノベルティ、アルマイト加工の部品に取引先企業のロゴを印刷する仕事など、取引先は業種を問わず多岐にわたります。
技術面で同社が誇るのが、微妙な調色の技術です。天候や気温によってインクの硬さが変わり、同じ色を出すにも日々の感覚での調整が求められます。「まだまだ合わせられない色がある」と語る松田社長ですが、先代はその道50年以上のベテラン。合わせた直後は「これ、指定してる色と違うやん」と思うような色でも、乾くとぴたりと指定色に合ってしまうといい、その感覚的な技術には今も驚かされているそうです。
特に力を入れていること・課題


現在、特に注力しているのが新しい分野への挑戦です。長年培ってきたシルクスクリーンの技術を活かしつつ、松田社長いわく、密かに進めているのが奥様を「職人化」させる計画なんだとか。これまでとは違う個人向けの分野にも少しずつ手を広げようとしており、匂いの少ない水性インクを使って、子どもたちと一緒にバッグなどにオリジナルの絵を印刷するワークショップを計画しています。
一方で、業界全体としては厳しい状況もあります。デジタル印刷やLED化が進み、シルクスクリーンにしかできなかった仕事も他の方法で代替されつつあるのが現実です。価格競争が厳しさを増す業界の中でも、「シルクスクリーンでなければ出せない仕上がり」を武器に、値段ではなく価値で選ばれる存在であり続けることを目指しています。
将来のビジョン・経営理念

松田社長が掲げるビジョンは、「今までにやったことないことをやりたい」というシンプルながら力強い言葉に集約されています。ワークショップのような新しい取り組みに積極的に踏み出す一方で、技術面では日々の色合わせと真摯に向き合い、より高い精度を追求し続けています。
その原動力の一つとなっているのが、JMSOの勉強会での学びです。これまで通りの仕事だけを続けていたら、「わざわざ新しいことをやらなくてもいいんじゃないか」と思っていたかもしれないと松田社長は振り返ります。しかし、勉強会で得た新しい視点や刺激によって、「やってみたら面白いかもしれない」という前向きな気持ちに変わったそうです。地域とのつながりも大切にしており、地元・東大阪のイベントへの参加も視野に入れています。
社長の紹介

松田社長は、家業を継ぐ前に飲食業界でキャリアを積んだ、異色の経歴の持ち主です。大学卒業後に居酒屋へ就職し、店長として3年間現場を経験。その後、家業に入り20年近く、印刷の道を歩んできました。幼い頃から父の仕事を間近で見ており、簡単そうにこなしているように見えていたといいますが、いざ現場に入ると「何もわからない」というほどの奥深さに直面。機械の操作ひとつをとっても感覚的な部分が大きく、一から技術を身につけていったといいます。
やりがいを感じるのは、難易度の高い依頼に挑むときだそうです。「これ大変やぞ」という案件が来ると不安よりもワクワクが先に立ち、いかに綺麗に仕上げるかを追求すること自体が楽しみだといいます。その日の気候や湿度に合わせてインクを調整し、印刷がぴたりと決まった瞬間の手応えは、何ものにも代えがたい達成感だそうです。
しかし、「その精度に安定してたどり着けるかというと、まだ先代には及ばない」と松田社長は率直に語ります。例えば300枚分の色を作る場合、先代ならすぐにぴたりと調色できるところを、調色すると「ちょっと違うな」を繰り返すうちに、必要な量より多く作ってしまうこともあるそうです。また、これまで「先代だから」という理由で決まっていた仕事も少なくなく、引退した後も今と変わらず仕事を続けていけるかどうかは、これから向き合っていきたい課題だと話します。
社長が大切にしていること
松田社長の座右の銘は「人は宝」。就職したばかりの頃は、自分と合わないと感じた人とは距離を置いてしまっていたそうです。しかし仕事を通して「苦手だと思う人ほど、自分にはない魅力を持っている」と気づいてから、人との出会いを前向きに捉えるようになったといいます。仕事はもちろん、ゴルフのつながりなど、人を通じて広がる縁を何より大切にしています。
休日の過ごし方
休日は土日祝がお休みで、現在は何よりもお子さんとの時間を大切にしています。小学生と年中さんの二人のお子さんと全力で向き合う「子供時間」が中心の生活です。趣味のゴルフは30歳頃、義理の兄に誘われたのがきっかけで始め、今ではすっかりハマっているとのこと。ゴルフ場に出かけると気分転換になり、景色の良さにも癒されるといいます。
いきつけのお店、ランチスポット
おすすめのお店は、まぜそば専門店「東雲食堂」。JMSOのメンバーとも足を運んだことがあるという、お気に入りの一軒です。普段のお昼はご家族が作ってくれたものを持参することが多いそうですが、得意先の方との会食では、この店を選ぶことが多いといいます。
製造業あるある
街中で印刷物を見かけると、思わず「シルク印刷かどうか」を確かめたくなってしまうのが職人の性。触れば大体わかるといい、つい印刷面をチェックしてしまう姿を見た息子さんからは、「また父ちゃんいつものやってるわ」と笑われることもあるそうです。日頃から妥協のない仕事を心がけているからこそ、街で見かける印刷物のクオリティにも自然と目が行ってしまう――そんな職人ならではの「あるある」エピソードです。
